コシューマーの定義と、振る舞いについて、これまで考えて来ました。
では、コシューマーと向き合っていくことになる企業にとって、コシューマーという存在はどんな問題解決を担っていくことになるのでしょうか。
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インフルエンサーマーケティングのジレンマ
効果に対して疑問がある理由
インフルエンサーの起用は、企業のマーケティング活動の中で重要なポジションを占めるようになりました。しかし、その効果に対して明確さに賭けるとして、疑問を投げかけている担当者も少なくないのではないでしょうか。
インフルエンサーマーケティングの効果に疑問を抱えている企業は、
- ターゲットの顧客を捕まえられていない
- 信頼性の欠如
- エンゲージメントの低さ
- ブランドとの不一致
- 目標があやふや
といった、キャンペーン前に確認しておくべき点に問題がある可能性があります。
しかしそれ以上に、短期的な効果を狙い、フォロワー数の多いメガインフルエンサー・マクロインフルエンサーと協業し、前述のエンゲージメントの低さやブランドとの不一致を招いて効果が挙げられないというパターンに陥っている可能性があります。
インフルエンサーとのマッチングの現場では
企業のプロモーションやイベントを担当する企業に話を聞くと、もう少し乱暴な話が多い、とのフィードバックがありました。
多くの企業で、インフルエンサーが重要である点は認識しています。しかし、インフルエンサーを通じて製品のファンを長期的に獲得しながら関係を深めていく、という目標ではなく、前述のような短期的な効果を信じているクライアントが多いことも確かです。
そのため、PRを担当する企業に対して、「インフルエンサーマーケティングもやらなければならないから、これぐらいの予算でインフルエンサーさんをアサインしてほしい」という非常にざっくりとしたオーダーをするクライアントが、まだまだ目立つと指摘しています。
コミュニケーションを前提にしていくべき
インフルエンサーマーケティングの成功事例は、企業のブランドとインフルエンサーのクリエイティブが相乗効果を起こし、多くのフォロワーやオーディエンスの共感を誘うキャンペーンに集中しています。
そのため、単にインフルエンサーを集めてきて「この商品を宣伝してください」とお願いしても、企業からすればインフルエンサーマーケティングによる重層的なファンの獲得とブランドの浸透という果実を得ることができません。
インフルエンサーと対峙する際には、コミュニケーションを通じてお互いを深く知り合い、その上でキャンペーンで何ができるか「議論」すべきだと考えます。
こうすることで、前回の原稿で指摘したようなインフルエンサーのクリエイティブが発揮され、コシューマーとしての振る舞いによって、企業が求める結果に近づいていくことができるのです。
インフルエンサー総研が、企業とコシューマーのマッチングの場に
インフルエンサー総研(RIIM)は、企業のマーケティングの取り組みと、コシューマーのクリエイティブさの双方を取材し、ケーススタディを集める活動をしています。
この活動を通じて、企業とコシューマーが出会い、共創していくきっかけを作り出すことを目指します。
いくつかのモデル
企業のコシューマーの活用には、いくつかのモデルを見出すことができます。引き続き研究を続けていきますが、現状次のようなモデルを見出しています。
- コミュニティモデル
- アンバサダーモデル
- マーケティング課題解決モデル
- ブランディング・リブランディングモデル
- 製品やサービスの問題解決モデル
- 新製品開発モデル
- オープンイノベーションモデル
- 経営参画モデル
オーディエンスやファンのまとまりを作るコミュニケーション群から、実際のマーケティングやブランドの問題を解決するモデル群、そして、製品の改善、新製品の開発、オープンイノベーションの取り組みといったより深い共創に取り組むモデル、そしてさらには、経営に参画するモデルの事例を見つけることができます。
RIIMでは、コシューマーが、各モデルにおいて、どのような振る舞いをし、企業やその製品・サービスに対してどのような影響を与えていくのか。またどんな効果を狙ってインフルエンサーを起用していくのかについて、掘り下げてお伝えしていきたいと思います。
インフルエンサーへのインタビュー、企業へのインタビュー、そして事例の取材を通じて、コシューマーの時代を描いて参ります。