株式会社大広 取締役執行役員でブランディングディレクター、鬼木美和さんの新著、『ファンを集められる会社だけが知っている 「ブランド人格」』が2024年3月13日に発売されます。
これに合わせて、鬼木美和さんとINFRECT代表、インフルエンサー総研所長の赤谷翔太郎による対談をお届けします。インフルエンサーマーケティングと企業、ブランドの未来についての議論に注目です。
今回の対談は、時事通信 jiji.com にも掲載されています。
インフルエンサー総研での対談記事、初回は、マーケティングが、今変わろうとしている、という時代の転換点に関する議論です。
Contents
マーケティングは大きな転換点にある
鬼木:34年ぶりに、マーケティングの定義が変わる
2024年1月25日に、公益社団法人日本マーケティング協会は、1990年に策定した「マーケティング」の定義を、34年ぶりに改訂しました。
これまで(1990年制定)は、売る人と回避との好循環を作ることが、マーケティングの定義でした。2024年の新たな定義は次の通りです。
企業と顧客だけではない、様々なステークホルダーを巻き込んで「関係性」を作るプロセスこそが、マーケティングの定義となってきたのです。
これは、広告会社・大広がこれまで考えて来た、色々な人たちとの関係をより良くすることと同じだと思い、とても嬉しくなりました。
マーケティングも、時代に合わせて進化しているのだと思います。
赤谷:「顧客が情報を受け取ってくれない」問題の解決に乗り出した
企業が自社で、あるいはメディアを通じて情報発信するのがこれまででしたが、顧客はなかなか情報を受け取ってくれなくなってきました。
企業目線の情報発信では押し売り色が強まり、顧客もそれに気づいたからだと考えています。だからこそ、マーケティングの新しい定義は、関係値を作っていくことが重要だとしたのではないでしょうか。
その上で、企業が顧客と関係値を作っていくにあたり、企業の皆さんが商品やサービスの熱量、志、思いを含めて、そのプロセスから届けていくことが重要ではないか、と考えています。
商品やサービスに対する共感がどこにあるのか、どうすれば顧客に届くのかを考えて、皆さんにファンになっていただく、そういうマーケティングが新しい事例として、INFRECTにも集まっているのではないか、と思います。
新しいマーケティングの中での、「インフルエンサー」という存在
赤谷:インフルエンサーの本質的な価値とは
インフルエンサーの本質的な価値とは、フォロワーの数や容姿ではないと考えています。
インフルエンサーが自分の活躍する領域で、獲得してきた知見や経験、フォロワーの皆さんの理解、顧客の理解、市場の理解といった部分に、価値があります。
しかし、こうした価値に着目して、インフルエンサーと協業できている企業はまだまだ少ないのが実態です。
マーケティングのメディアとしてではなく、事業開発の支援に近いことができる用になっていくのではないか、と思っており、今後広範なコラボレーションが、企業とインフルエンサーの間で起き、その過程も含めてフォロワーや顧客に見てもらうことが、新しいマーケティングの定義とも合致するのではないでしょうか?
鬼木:インフルエンサーは、企業の価値を一緒にアップデートしていく存在、と再定義できる
INFRECTが面白いと思った点は、インフルエンサーをメディアとして使うのではなく、そこから声を集めて企業の価値を一緒にアップデートし、新しい価値を一緒に生み出そうとしている仕組みになっている点です。
インフルエンサーを起用したとき、一回発信して終わりではなく、そのことについてどう思うか、という声がフォロワーから集まり、フォロワー、インフルエンサー、そして企業を巻き込んで、更なるアクションが連なっていく。
その過程で、対話が重なり、三位一体となって『一緒に何かを作ろう』という価値創造につながっていく。
そのため、新しいマーケティングの定義の中で、インフルエンサーもまた再定義され、重要な役割を占めていくのではないでしょうか。
(続く)