郷に入っては郷に従え、Z世代のことは、Z世代に聞け。
新しい世代の消費者を顧客として捕まえたい企業は、上のような非常にシンプルな、しかしなかなか普通の企業では取り組みにくい、敷居の高い施策を実現し、成功している企業が生まれています。
Z世代のインフルエンサーをアドバイザーに迎える理由と、その効果に迫ります。
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インフルエンサーのアドバイザーを迎える企業の事例
THE BODY SHOP の Youth Collective
世界的な石鹸や化粧品のブランド「THE BODY SHOP」は、「Youth Collective」という、社内の30歳未満の社員が構成するグループを作り、役員会の諮問委員会として常設することにしました。
もともと、Z世代に対して、会社を批判するよう依頼し問題を発見しようとしたことがきっかけでしたが、その結果、同社のビジネスに対して、若者からひどい批判の嵐が巻き起こったのです。
そこで、継続的に若者の意見を経営に取り組む仕組み作りに着手しました。
https://www.thebodyshop.com/en-gb/about-us/activism/beseenbeheard/our-youth-collective/a/a00076
Moon Juice の Z世代アドバイザリーボード
化粧品やプロテインなどを扱うブランド「Moon Juice」が立ち上げたZ世代アドバイザリーボードは、毎月役員とミーティングを行い、価格から製品名に至るまでのあらゆる事柄についてミーティングを行います。
この中から、「Mini Dew」という製品名が生まれたり、世代にフィットする価格や製品に関する重要な助言が得られていると言います。
Ascend も Z世代ボード を設置
シカゴのPR会社Ascendも、Z世代のリーダーを集めた委員会を設置し、クライアントに対して直接的に、Z世代の購買活動、世代観、マインドセットなどをアドバイスする専門のチームとしての活動を行っています。
Able Partners はZ世代が投資のポートフォリオを助言
ニューヨークの投資会社Able Partnersは、Z世代のアドバイザリーチームを組織し、クライアントに対して、SDGsやESG、Z世代に好まれる投資行動に関するアドバイスを実施しています。
Z世代インフルエンサーとの協業で重要な5つのこと
Z世代の社員やインフルエンサーと企業が協業する際に求められることに、次のようなものがあります。
1. 共感
Z世代に限らず、世代間ギャップは、ブランドや製品の浸透にとって非常に大きな障壁になります。上の世代に向けてマーケティングや製品作りを行ってきた企業にとって、Z世代から共感が得られるかどうか、また上の世代が自分たちの考え方に寄り添い、理解してくれているかどうかをつぶさに観察しています。
そのため、共感を得ること、あるいは共感するための情報や考え方を集めることは、Z世代を巻き込む上で非常に基礎的な体制作りに寄与します。
2. 心理的安全性
心理的安全性は、特に若者世代が重視する環境や状態を指します。わかりやすい言葉で言えば「最近の若い者は……」が禁句だ、ということです。
当然上の世代に比べて経験が短く、知らないこと、分からないことがたくさんあります。その一方でZ世代はパーソナルブランドを大切にするため、分からないことを指摘されたり、馬鹿にされたり、皆に知られてしまうことに対して極めて警戒心を抱くのです。
そうなると、Z世代の意見がミーティングや企業の製品開発の場に出てこないばかりか、企業やブランドに対してネガティブな印象を植え付けてしまうことになります。
知らなくても良い、とんちんかんな発言をしても良い、という場作りから、心理的安全性の高い環境を作り出すことが重要であり、上の世代であればあるほど、気をつけなければなりません。
3. 専門の事業部用意すること
チームにZ世代の意見を取り入れるために、メンバーに加えることは積極的に行うべきでしょう。しかしながら、すべてのマネジメントが、前述の心理的安全性を作り出せるとは限りません。
より際立つZ世代の意見をとりまとめたければ、事例に合った企業が行っているとおり、専門の事業部を用意し、Z世代主導で意見をとりまとめる仕組みを持たせることが重要です。
4. ウェル・ビーング
Z世代は、地球環境から個人の働き方まで、健康的であることに対して極めて気遣います。そのため、日本企業でよく見られる根性論や、「いままでがそうであったから」と前例を踏襲してムリを強いることは割けた方が良いでしょう。
5. 認識・承認すること
いわゆる承認欲求とも言われる、認識されること、認められることは、Z世代にとってモチベーションを高めるために常に確認していることと言えます。
また、企業やブランドでの取り組みは、その意見がどれだけ反映されているか?実際に変化が起きたかどうかが、尺度となってきます。
Z世代のインフルエンサーをブランドや経営に取り入れる際には、きちんと彼らが成果を受け取るフィードバックや、意見が反映されていることが分かる仕組みを用意していく必要があります。