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2024年版:ギフティング完全ガイド ー 効果的な実施戦略と成功のポイント

SNSマーケティングの進化と共に、インフルエンサーを活用した戦略が注目を集めています。その中でも「ギフティング」は、効果的かつ持続可能なマーケティング手法として急速に普及しています。本記事では、ギフティングの基本から実践、メリット・デメリットまで、2024年最新のトレンドを踏まえて詳しく解説します。

ギフティングとは、InstagramやYouTube、TikTokなどのSNSで影響力を持つインフルエンサーに対して、自社の商品やサービスを提供し、その魅力を効果的に発信してもらうマーケティング戦略です。

適切なインフルエンサーの選定方法」や「効果的な実施プロセス」など、ギフティングを成功させるためには様々な課題があります。ギフティングを活用した差別化戦略は、ブランド認知度の向上や売上増加に大きく貢献します。本記事を通じて、ギフティングの可能性を最大限に引き出し、成功への道筋を見つけましょう。

ギフティングとは

ギフティング(Gifting)を一言でいうと、自社商品を提供してSNSで紹介してもらうマーケティング手法です。英語ではシーティング(Seeding)と呼ぶこともあります。

昨今消費者は、実際にものを購入して使ってみた人の意見(口コミ)を重視し、ブランドや製品選びの参考にしています。消費者に近い立場であるインフルエンサーの発信は、広告とは異なり、フォロワーに対してよりフラットな情報提供の手段となるのです。

購入していなくても、実際に使った感想が投稿されるため、買おうか検討している人にとっては重要な情報となり、よりリアルで説得力のある訴求を、インフルエンサーを通じて行うことができるようになります。

例えば、現在でこそモバイルバッテリーのトップブランドとなったAnkerも、日本に上陸してすぐのタイミングでは、ギフティングを通じて製品の品質の良さ、機能性の高さをインフルエンサーに実感してもらい、口コミを盛り上げるきっかけづくりに役立てました。

ギフティングは無償と有償(PR施策)の2種類

ギフティングには、無償ギフティング有償ギフティングの2種類があります。

いずれの場合も、製品を提供して感想を投稿してもらう手法ですが、有償ギフティングは製品の提供に加えて、投稿する際の報酬を支払うことで、インフルエンサーに引き受けてもらいやすくしたり、自社製品の利点を強調した投稿をお願いしやすくします。

それぞれ見ていきましょう。

無償ギフティング

無償ギフティングは、金銭的な報酬がない、商品提供のみのギフティングです。

投稿の有無は任意であり、インフルエンサーが気に入ったり、取り立ててフォロワーに伝えたいと思うことがあれば投稿するという、強い強制力を企業から受けない方法となります。

そのため、投稿の内容はコントロールができず、本当に率直な感想をインフルエンサーが投稿することを期待することになります。

なお、インフルエンサーは、商品提供を受けた案件であることを明記する必要があります。

無償ギフティングのメリット

無償ギフティングのメリットは、企業にとっては、商品提供のみで良いため、商品の費用と送料以外にコストがかからず、PRの費用を抑えることができる点です。

そのため、複数の人にギフティングを行い、製品を試してもらう施策を実施することも可能となります。

また、インフルエンサーにとっては、投稿内容の指示を企業から受けないため、商品を実際に使用した際の感想や使用感を紹介することになります。リアリティのある口コミが広がります。

無償ギフティングのデメリット

デメリットは2つあります。

1つ目は、承諾してくれるインフルエンサーが少ないことです。

一般に、無償ギフティングを受けてくれるインフルエンサーは10%程度で、商品の提供を受けたとしても、コンテンツ化につながらないことも少なくありません。

その背景には、動画の制作があります。特にYouTubeやTikTok、最近ではInstagramでも、動画主体での発信が増えてきました。そうなると、コンテンツ制作にどうしても時間がかかってしまい、労力も大きくなります。

そのため、他に有償の案件があった場合、無償案件は後回しにされたり、コンテンツ化が見送られる可能性が高くなるからです。

もう一つは、企業の希望通りの情報発信にならない可能性があることです。

無償ギフティングでは投稿の内容に制約をつけたり、企業がコントロールすることはできません。そのため、実際に試した結果の感想を書くよう依頼することが多く、商品の良し悪しがインフルエンサーの投稿を左右することになります。

また、製品や機能についてのきちんとした説明がなければ、インフルエンサーが誤解したまま悪いレビューを投稿することもあり、無償だからといって商品を渡すだけでは、思わぬネガティブな結果を招く危険性もあるのです。

有償ギフティング

有償ギフティングは、インフルエンサーに金銭的な報酬を支払って行うギフティングのことです。

インフルエンサーには商品提供に加えて、フォロワー数やコンテンツ制作量に応じた報酬が支払われます。

無償ギフティングと違い、有償ギフティングでは、投稿は任意ではなく必須となり、企業は投稿の内容の指定や事前のチェックも行うことができるようになります。

またインフルエンサーは、「PR」(広告)であることをコンテンツや投稿に明記しなければなりません。

有償ギフティングと無償ギフティングの違いを比較

有償ギフティングと無償ギフティングの最も大きな違いは、コストにあります。有償ギフティングは商品提供に加えて、インフルエンサーへの報酬が発生します。インフルエンサーの規模によって、数十万円〜数百万円の報酬金額になるからです。

そのため、数多くのインフルエンサーの起用が難しいという事情があります。

またエンゲージメントについては、有償ギフティングで規模の大きなインフルエンサーを選んで起用することで、高めることができます。しかし無償ギフティングの場合、投稿の有無も任意であり、エンゲージメントが低く推移することが多くなります。

有償ギフティングの場合、投稿のシナリオやイメージなどの説明資料をインフルエンサーに提供しなければならないため、商品を送るだけの無償ギフティングに比べて、企業側の工数がかかります。

有償ギフティングと無償ギフティングの使い分け

2種類のギフティングをどのように使い分ければ良いでしょうか。

まず投稿が任意、よりリアルな口コミとなる無償ギフティングは、コストをかけずにより多くの人たちに口コミを投稿してもらう可能性を作り出すことができます。商品が良くなければポジティブな投稿は生まれませんが、裏を返せば、商品の良さを説得力あるリアルな投稿として増やしていく方法と言えます。

一方で有償ギフティングはコストをかけながら、より影響力の大きな人にPRしてもらうことで、リーチを一気に広めたり、信頼性を高めるといった役割があります。

ギフティング実施の流れ

ギフティングを用いたインフルエンサーマーケティングの手法について、その流れをご紹介します。

インフルエンサーの選定

まず、インフルエンサーを選びます。ブランドや製品に合いそうな、また製品のターゲット層に影響力を持つインフルエンサーを選定すると良いでしょう。

無償の場合、インフルエンサーで承諾してくれる人は10%程度になる可能性もあります。多めにインフルエンサーを見つけておいて、順次コンタクトを取っていく形で、目標の人数が集められるようにしましょう。

インフルエンサーへの依頼文作成・送信

インフルエンサーの選定をしたら、無償ギフティングの依頼文を作成します。SNSによっては、1日に送信できるDMの数が限られているので、余裕を持ったスケジュールでインフルエンサーに連絡しましょう。

依頼文の項目例
  • 自社の紹介、あいさつ
  • 依頼理由
  • 商品詳細
  • 大まかな投稿内容
  • 投稿先
  • 報酬(無償ギフティングの場合は、「商品のご提供のみ」と記載)
  • 希望ハッシュタグ
  • 投稿期限

商品の発送

DMを送り、ギフティングに承諾してくれたインフルエンサーに対して、商品を発送します。

DMのやり取りを通じて、相手の住所や本名、電話番号を聞かなければならないため、お互いに信頼感を持ったコミュニケーションを心がけておく必要があります。また、個人情報の取り扱いにも注意が必要です。

SNSアカウントでの個人情報のやり取りが心配という声に対応するには、Googleなどのフォームに入力してもらったり、電子メールでのやり取りに切り替えるなど、臨機応変な対応が必要です。

インフルエンサーによる投稿

商品が発送され、インフルエンサーに到着したら、インフルエンサーの投稿を待つことになります。

お願いしたアカウントに投稿されたことが確認できたら、DMなどの手段でお礼のメッセージを送ると良いでしょう。

また、企業アカウント、あるいは製品アカウントがある場合は、インフルエンサーの投稿にいいねをつけたり、リポストしたり、コメントで投稿の感想を送信するといったコミュニケーションを行ことも良いのではないでしょうか。

いずれにしても、今後に向けて、良い関係を維持していくことを心がけると良いでしょう。

施策の効果測定

インフルエンサーの投稿が確認できたら、効果測定を行なっておきましょう。次の3つのポイントを見ていきます。

投稿のインプレッション、再生数、エンゲージメント

投稿が何回表示されたか、何回再生されたか、といった情報に加え、いいねやシェア、リポスト、コメント、返信、引用といった、インフルエンサーの投稿に対するリアクション(=エンゲージメント)を計測します。

初めてのキャンペーンの場合、これらの数字が多いのか少ないのか、判断に困ることがあるかもしれません。

例えばインプレッション数や再生数については、インフルエンサーのフォロワー数の20〜40%を、エンゲージメントについては3〜5%程度を目安に計測し始めても良いかもしれません。

ハッシュタグ投稿数

インフルエンサーの投稿をきっかけに、商品やブランドの名前のハッシュタグがどれだけ投稿されたのか、その数を計測しておきましょう。

ハッシュタグ投稿が増えれば、商品の情報にSNS上でアクセスしやすくなり、口コミの数が多ければ多いほど、信頼度が高まり、購入につながりやすくなっていきます。

ECサイトでの販売数

インフルエンサーの投稿移行、ECサイトの売上に増加があったかどうかを確認しましょう。

必ずしも、投稿されてすぐに購入に繋がるわけではなく、認知され、比較検討されたのちに購入されることから、1週間〜10日程度の期間で変化を見ていくと良いでしょう。

ギフティングを実施する際に注意すべきこと3点

条件を細かく決定し、投稿内容についてもすり合わせを行う有償ギフティングと異なり、無償ギフティングはより自由な投稿を促す手法です。そのため、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。

投稿を義務化したり、指定しすぎない

無償ギフティングを行う際、インフルエンサーに投稿を強制したり、内容を限定することはやめましょう

あくまで商品レビューの依頼であるため、企業から投稿の強制や内容の限定を行うと、インフルエンサーが企業や製品に対して悪い印象を持つことになります。

またそうしたことはインフルエンサーのフォロワーにも伝わる可能性があります。

希望ハッシュタグは指定する

ハッシュタグなしの投稿は、なかなか検索で見つけにくかったり、他のユーザーが発見できなかったりすることから、ギフティングの施策の効果を減少させてしまいます。

ブランド名や商品名のハッシュタグを入れてもらうことで、投稿を発見しやすくなります。。

ステルスマーケティング(ステマ)にならないようにする

ギフティングで気をつけなければならない点は、ステルスマーケティング(ステマ)にならないようにすることです。

ステルスマーケティングとは、消費者が広告やPRだと気づかず、マーケティング施策の情報に触れることを指します。これによって、消費者が正しい情報に基づいた選択ができなくなるとしており、米国や英国などで禁止されています。

日本においても、2023年10月から、ステルスマーケティングが禁止となり、企業に対して罰則が設けられました。

インフルエンサー(個人)には罰則はありませんが、情報の公平性や正しい情報を提供する姿勢を示す意味でも、インフルエンサーへのギフティングを行なった場合は、無償であっても「商品提供」「PR」であることがわかるよう明記してもらうと良いでしょう。

ステマ規制について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

ギフティングの効果

ギフティングを活用したインフルエンサーマーケティングは、消費者行動に大きな影響を与える手法として注目されています。特にSNSで強い影響力を持つインフルエンサーが商品を紹介することで、消費者に信頼性を持った形で商品の情報が伝わります。例えば、20代のSNSヘビーユーザーの89.2%がインフルエンサーの投稿をきっかけに商品に興味を持ち、そのうちの約9割が実際に購入に至っています。

このように、インフルエンサーの信頼を背景にギフティングは特に消費者の購買意欲を刺激する効果的な手段となっています。

たとえば、化粧品ブランドはインフルエンサーに新製品を提供し、レビューや使用感をSNSで共有してもらうことで、多くのフォロワーがその商品を試すきっかけになります。実際に、ある化粧品ブランドはインフルエンサーを通じてギフティングを行った結果、フォロワーからの反響が非常に大きく、新規顧客の大幅な増加につながった事例もあります。

この手法は、フォロワーがインフルエンサーの意見や使用感を信頼し、購入に結びつく可能性が高いことを証明しており、特に若年層のSNSユーザーに対して強力な効果を発揮します。企業にとっては、ギフティングは製品の露出度を高め、口コミ効果を最大限に活用できるマーケティング戦略です。

【参考】[PR TIMES](https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000054850.html)

まとめ

インフルエンサーマーケティングの手法として定着しつつある「ギフティング」について解説してきました。

特に商品提供のみを行う無償ギフティングは、より多くのインフルエンサーによるリアルな口コミを作り出すことができる効果を狙え、インフルエンサーマーケティングの初期の施策として、良いきっかけになるのではないでしょうか。

インフルエンサー選びや、綿密なコミュニケーション、投稿を強制しないなどの注意点を参考に、ぜひ試してみてください。